ヒューマンネットワークグループ代表 齋藤伸市ブログ

教育資金の贈与税非課税措置

25年度税制改正関連法が成立し、贈与税を非課税とする特例として
「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置」が決定したことは、
税制改正の目玉でもあり、皆さんご存知だと思います。

文部科学省のサイトに掲載されている制度の背景を引用すると

「現行制度では、扶養義務者間(親子間等)で必要の都度支払われる
教育資金は贈与税非課税である。しかし、教育については将来にわたり
多額の資金が必要であり、「一括贈与」のニーズも高い。

高齢者世代の保有する資産の若い世代への移転を促進することにより、
子どもの教育資金の早期確保を進め、多様で層の厚い人材育成に資する
とともに、教育費の確保に苦心する子育て世代を支援し、経済活性化に
寄与することを期待するものである。」
文部科学省『教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置について』

とあります。

すなわち、今回の非課税措置に係わらず、今までも扶養義務者が必要な
都度支払う教育費用の贈与については非課税扱いでした。
違いは、将来にわたる教育資金を「一括贈与」できる点にあります。

今回の措置では、本年4月1日から平成27年12月31日までの間、
祖父母等(直系尊属である贈与者)が子や孫等(受贈者)に対して、
教育資金に充てるために一括して金銭を贈与し、当該子や孫等の名義で
新たに開設された口座に預入等された場合には、受贈者お一人につき
1,500万円を上限として贈与税が非課税になります。

現行の税制では、贈与者の存命中に子や孫に教育資金が必要になれば、
非課税で贈与が出来るのですが、亡くなってしまったらそうはいきません。
それが、将来の教育資金を、事前に預金しておくことが認められるのです。

でも、預け入れすれば非課税が永続するという訳ではありません。
この資金を使う際には、確かに教育費に使われるということを
金融機関が領収書等により確認・記録し、そして保存するのです。
税務署での手続は不要で、資金使途のチェックを金融機関に委ねる点は
興味深いといえるでしょう...。

そして、国税庁の作成した『制度のあらまし』によると

「契約は、次の(1)~(3)の事由に該当したときに終了します。

(1) 受贈者が30歳に達したこと

(2) 受贈者が死亡したこと

(3) 口座等の残高がゼロになり、かつ、教育資金口座に係る契約を
 終了させる合意があったこと

上記(1)又は(3)の事由に該当したことにより、教育資金口座に係る契約が
終了した場合に、非課税拠出額から教育資金支出額(学校等以外に支払う
金銭については、500万円を限度とします。)を控除した残額があるときは、
その残額が受贈者の上記(1)又は(3)の事由に該当した日の属する年の贈与税の
課税価格に算入されます((2)の事由に該当して教育資金口座に係る契約が
終了した場合には、贈与税の課税価格に算入されるものはありません。)。

したがって、その年の贈与税の課税価格の合計額が基礎控除額を超えるなどの
場合には贈与税の申告期限までに贈与税の申告を行う必要があります。」

と説明されています。
すなわち、資金が残った場合には、贈与税が発生するかもしれません...。

今回の税制改正の目玉として、メディア等も積極的に
この「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置」を紹介しています。
そして、相続対策(資産移転)に有効な手段といえそうです。

ただし、事前に内容(特徴)を把握し、終了時に残金があった場合には
課税の可能性もあるということを視野に入れる必要があるでしょう。

2013年5月14日 11:35 | オーナー経営者の税務 | トラックバック(0)

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